こんばんは!
昨日に引き続き、うさぎの神経系の病気についてまとめていきます。
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今日は、うさぎの神経系の病気を引き起こす、中耳炎・内耳炎・エンセファリトゾーンについて、詳しく解説していきます。
目次
うさぎの中耳炎・内耳炎とは?
中耳炎や内耳炎は、ペットのうさぎに多く見られる病気で、原因は細菌感染によるものが一般的です。
外耳の感染が、鼓膜を通じて、中耳や内耳へ波及します。
内耳の顔面神経の障害を起こすと、顔面神経麻痺を起こしたり、頭蓋骨内に波及すると、斜頸、眼振を起こしたり、最悪の場合突然死の可能性もあります。
鼻炎や副鼻腔炎などの気道疾患から耳管咽頭口(口から耳につながるところ)、耳管を通して、二次的に前庭障害を起こすことがあります。
また、ロップイヤーは、耳が垂れているので湿気がこもりやすく、外耳炎を引き起こしやすいです。
耳ダニ症から、中耳炎や内耳炎を引き起こすこともあります。
症状
感染の重篤度と、その広がり方により症状は異なりますが、主に下記のような症状が見られます。
- 食欲低下や歯ぎしりを事前に発症することがある
- 斜頸、頭を振ったり、耳を掻いたり、耳を下げたり、ケージの床を掘るなど
- 耳の紅斑、白色クリーム状の分泌物、耳道が腫れる
- 顔面神経麻痺(顔面の非対象、瞬き不能、目脂)
- 聴覚障害
しかし、外耳の分泌物が必ずしも、中耳炎だとは言えません。
538羽のの死亡解剖で、38%が中耳炎を発症していたが、生前に明らかな臨床症状はなかったというデータがあります。
脳に波及すると、突然死することもあるので注意が必要です。
診断
実は、中耳炎の生前診断は難しいと言われていますが、診断方法としては下記の二つが有用です。
- X 線検査にて鼓室胞(頭に二つある)の評価
- CT 検査
治療
- 抗生物質
- 炎症を鎮めるためのステロイド(長期投与は推奨されない)
- ヒトの乗り物酔いに使うめまい薬
- 外科的治療
外科的治療として、外耳道を切開して膿を出す手術をすることもあるが、あまり日本では一般的ではありません。
手術は、根治に至らないこともあり、術後に斜頸をより悪化させる可能性があるからです。
エンセファリトゾーンとは?
エンセファリトゾーンとは、微胞子虫の仲間です。
かつては原虫に分類されていましたが、現在では菌類(カビなどの真菌)に近いとされています。
エンセファリトゾーンには、いくつかの種類がありますが、うさぎに感染するのは「encephalitozoon cuniculi」といううさぎ専門の菌です。
エンセファリトゾーンは、実験用マウスと猿、犬、霊長類、及びヒトで発生することが分かっています。
どうやって感染するの?
エンセファリトゾーンに感染したうさぎが、感染から6ヶ月後に尿中にある胞子を排出するので、その尿を経口摂取することで他のうさぎに移ります。
親子の間でも感染し、子宮内で赤ちゃんの水晶体に入り込み感染します。
感染後30日は、中枢神経系には行きません。
感染例のほとんどは無症状で、免疫が低下することで発症することがあります。
例えば、ストレス、衰弱、老齢、投薬中のうさぎなどに発症する可能性があります。
ただ、うさぎのエンセファリトゾーンが、どの程度神経系疾患の原因になっているかは、今だ議論が絶えないようです。
データによると、アメリカやヨーロッパでは約80%、日本では75.2%がエンセファリトゾーンに対する抗体を持っているそうです。
症状
エンセファリトゾーンの感染により細胞が壊れることで、炎症が引き起こされます。
この炎症により、下記のような様々な症状が引き起こされます。
- 肉芽種性脳炎
- 脊髄神経根炎
- 斜頸
- 眼振
- 痙攣
- 運動失調
- 食欲不振
- 若齢うさぎの白内障
- ぶどう膜炎
- 緑内障
- 前房蓄膿
- 腎不全
診断
抗体検査があるが、エンセファリトゾーンの裏付けにはならないとされています。
治療
- 抗微胞子虫薬
フェンベンダゾールを約1ヶ月投薬すると、体内のエンセファリトゾーンは死ぬとされています。
- ローリングや頭部斜頸などの重篤な前庭症状がある場合
抗痙攣薬、めまいの薬、ステロイド
うさぎはステロイドにとても敏感とされていますので、その使用に関しては賛否両論があります。
ステロイドは、炎症を鎮めるために使用することはあるが、免疫が落ちるので細菌が活性化する恐れがあります。
ローリングするうさぎへの治療
ローリング(ぐるぐる回ってしまう)するうさぎには、薬が効かない可能性があります。
そのようなうさぎには、体を固定してしまうと回復を遅らせることがあるので、適度な運動が有効だとされています。
例えば、滑らない床で毎日数回、10分から30分程度、補助をしながら運動をさせてあげると、立ちあがることが出来るようになることがあります。
神経系の病気のまとめ
中耳炎、内耳炎、エンセファリトゾーンの鑑別は非常に難しいので、こちらの病院での治療は、中耳炎・内耳炎・エンセファリトゾーン全てをターゲットにして治療するそうです。
神経系の病気は、発症から時間の経過とともに重篤化することが多いので、眼振や斜頸の症状が出たら、1日でも早く病院に連れて行くことが大切です。
ただ、よくなることもあれば、残念ながら突然死することもあります(特に中耳炎)。
まとめ
以上、うさぎの神経系の病気である、中耳炎・内耳炎・エンセファリトゾーンについてまとめました。
参考になれば幸いです☆