こんばんは(^-^)
前回のうさぎの目のしくみ、うさぎの鼻のしくみ、うさぎの毛と皮膚のしくみに続く、「うさぎの体を知ろう」シリーズ第4弾です!
今回は、うさぎの歯のしくみとうさぎがかかりやすい歯の病気「不正咬合」をご紹介します。
目次
うさぎの歯のしくみ
下記の図はうさぎの歯の構造図です。
うさぎの歯は全部で28本あります。
うさぎの前歯(切歯)は、ネズミやハムスターのげっ歯類と似ていますが、げっ歯類が前歯2本に対して、うさぎは前歯二本の裏側にさらに小さな2本が重なっています。
そのため、重歯目(ウサギ目)と呼ばれています。
げっ歯類は前歯だけ伸びますが、うさぎは前歯も奥歯(臼歯)も一生伸び続けます。
前歯は一年に10cmほどの速さで伸び続け続けるんです!
そんなに伸びて大丈夫なの?と思う方がいるかもしれません。
うさぎの歯は一生伸び続けますが、牧草などを食べる事により、歯同士が摺り合わさり削れて、ちょうどよい長さを保っているんです。
また、げっ歯類は一生歯が生え変わりません(一生歯性という)が、うさぎは、生後30日で、乳歯が永久歯に生え変わります(二生歯性という)。
こちらの記事で、うさぎの歯について詳しく書いています!
うさぎの歯の病気 不正咬合
うさぎの歯によくある病気で、不正咬合と呼ばれるものがあります。
不正咬合とは、先天的に咬み合わせが悪かったり、咀嚼を必要としない食事ばかりをしていると、歯がうまく擦り減らず伸びてしまう病気です。
先天性のものもありますが、多くは食事内容や生活環境によるものです。
それでは、不正咬合を前歯と奥歯に分けて、順番に見て行きましょう☆
前歯の不正咬合
うさぎの前歯は、通常は上の前歯が下の前歯に被さるようにして生えています。
しかし、何らかの原因で、上下の歯がきちんと噛み合わされなくなると、歯が適切に擦り減らず、前歯が伸びすぎてしまいます。
酷くなると、伸びた歯が頬や唇に刺さる事があります。
前歯は主に堅い牧草などを噛み切る役目がありますが、不正咬合になると、物を噛み切ることが出来なくなります。
原因
- 外部からの衝撃
前歯の不正咬合でよくある原因は、外部からの衝撃です。
例えば、ケージの金網をガイガジを噛み続けていると、歯が不自然な方向に向いてしまい、噛み合わせが悪くなります。
また、抱っこの際に高い所から落としてしまったり、走り回って何かに衝突してしまったりと、顔面を打った時にも歯の噛み合わせが悪くなってしまうことがあります。
- 食事内容
食事内容も不正咬合の原因になります。
柔らかくて簡単に噛み切れるものばかり食べていると、歯が適切に摩耗せず伸びてしまいます。
- 老化
老化により歯根が緩んで噛み合わせが悪くなることがあります。
歯周ポケットから細菌が侵入して感染を起こし、正常に歯を作る事が出来なくなります。
- 遺伝
生まれつき下顎が上顎より長いうさぎは、噛み合わせが悪くなります。
早ければ生後3週間後に症状が見られますので、うさぎをお迎えする時にチェックしてください。
- カルシウム不足
歯が成長する段階で、カルシウム不足などで栄養バランスが悪くなると、頭蓋骨が変形してしまい、不正咬合を起こすことがあります。
- 奥歯の不正咬合
奥歯の不正咬合は、前歯の不正咬合の原因になります。
症状
- 口を閉じているのに歯が見えている、または口が閉じられない
- 食欲がない、食欲がありそうに見えるが食べるとすぐにやめる、柔らかい物しか食べない、ペレットがうまく食べられず口からこぼす、食べ物の好みが変わる
- よだれが多くなる、よだれで口の周り・顎・胸・前足が濡れている、顎下に皮膚炎が見られる、
- 食事量が減るので、腸内バランスが崩れる、便が小さくなる、量が減る、下痢になる、うっ滞を起こす、体重が減る
- 痛みが出るので、元気がなくなる、涙目になる、攻撃的になる
- 給水ボトルから水を飲みにくくなる
- 毛繕いが出来ないので、被毛が乱れる、盲腸便を食べ残す
奥歯の不正咬合
奥歯が不正咬合を起こすと、上顎の奥歯は頬の方へ、下顎の奥歯は下の方へ伸びてしまいます。
奥歯が不正咬合になると、歯が刺さって口の中に傷が出来たり、化膿したりすることもあります。
また、食欲が落ちます。
原因
前歯と同じで、先天性のものや、咀嚼を必要としない食事によるものがあります。
症状
奥歯の不正咬合は前歯と基本的に同じですが、他に次の症状が見られます。
- 歯ぎしりが多くなる
- 顎の動かし方がおかしい(下顎を左右に動かして食べるのが正常)
- 顎を触るとデコボコしている、顎を触られるのを嫌がる、顎が腫れている
- 眼球が突出している
- 歯根が鼻涙管を圧迫しているので、痛みから涙目になる、白っぽい涙が出る
- 白っぽい鼻水が出る
不正咬合の予防方法
前歯の不正咬合の予防
- 定期的に歯のチェックをする
前歯は、唇をめくるとすぐに診えるので家でもチェック出来ます。
- ケージの金網を齧る癖をつけないようにしましょう。
やめさせようとしておやつをあげたり、齧るたびにケージから出していると、齧るといいことがあると覚えてしまうので止めるようにしましょう。
どうしても齧ってしまう場合は、ケージに木製フェンスなどをつけて、齧っても歯に負担がかからないようにしましょう。
- 抱っこは座ってするなど、高い位置からの落下の危険性を防ぐ
- 堅い牧草を食べて、前歯を使いしっかり噛み切ってもらう
- 先天性だと遺伝する可能性があるので、パパとママが不正咬合を起こしていないか注意が必要です
奥歯の不正咬合の予防
- 歯を擦り合わせて食べる必要がある、繊維質の高い牧草をたくさん食べさせるようにしましょう
- 口の小さいうさぎの奥歯はなかなか自宅では見れないため、動物病院で定期的な健康診断をしてもらいませよう。
一旦、不正咬合になってしまうと、一生歯を切ったり削ったりしなくてはいけません。
特に奥歯は麻酔をして治療することになりますので、うさぎにもストレスがかかります。
そして、不正咬合を放っておくと、健康な歯にも影響が及ぶことがあります。
また、不正咬合により食欲が落ちると、うっ滞になるなど、他の病気を引き起こす可能性があります。
そうならないためにも、早期発見が大切です。
まとめ
以上、うさぎの歯のしくみとうさぎがかかりやすい歯の病気「不正咬合」についてまとめてみました。
皆さんのうさぎさんも、一生健康な歯で過ごし、美味しい物をたくさん食べることが出来るようにしてあげてくださいね☆
参考文献:大野瑞絵 曽我玲子監修『新版 よくわかるウサギの健康と病気』誠文堂新光社 (2018)
清水 邦一・清水 宏子(清水動物病院)他、『ウサギ健康100科 まるごとうさぎ』スタジオ・エス(2004)